なぜ館山の人は落花生を茹でて食べるの?

スーパージャンボ落花生「おおまさり」

落花生といえば千葉県が誇る一大特産品。
全国の生産量のうち、7割以上もの落花生が千葉県で生産されています。
ここ館山でももちろん落花生が生産されていますが、何やらかなり特徴のある落花生のようなのです。
今回は館山産落花生の全貌を明らかにするとともに、その美味しい食べ方や買うことができる場所などを紹介します。

(2012/09掲載:H)

落花生の王国 千葉県

千葉県の落花生モニュメント

千葉県は野菜全体の生産高が全国で2位と有数の農産県なのですが、中でも落花生はダントツ1位の座を維持し続けており、2010年の農水省の統計によると全国の生産量1万6200t(殻付き)のうち1万2300tともなる75%以上もの落花生が千葉県で生産されています。これには何か理由があるのでしょうか。

「現在ラッカセイ栽培が全国で一番多いのは千葉県である。これは九十九里の海岸地帯のほか、北総台地といわれる火山灰土の畑作地帯で広く栽培されているためである。
開墾畑が多かったこれらの地域は周辺に川が少なく、乾燥しやすい火山灰土の畑では夏場の干ばつを受けやすい。ほかの作物の栽培がむずかしく、これらの条件に適したラッカセイが栽培されるようになった。」
(『ラッカセイ』鈴木一男著/農山漁村文化協会2010年p13)

千葉県は、北部を「北総台地」と呼ばれる火山灰土が堆積した地帯が占め、東南部は九十九里の海岸線が広がるため、全体的に真水に恵まれない土地として昔は農地に不向きであったようです。それが、明治期になって職を失った武士の就業先として本格的な開墾事業が始まると一転、やせ地でも栽培できる作物を中心に農産県としての道を歩み始めました。
落花生は比較的土地を選ばずに栽培することができ、またマメ科の植物として土を肥やす働きもあったため広い範囲で急速に栽培が始まり千葉県は一大生産地となります。その当時は他県でも多く落花生を栽培していましたが、単価の高い作物が流入してきてから全国的な生産は漸減。ただ千葉県だけがその生産量を落とすことなく栽培を続けていたため、これ程までに突出した生産割合を保持するに至ったのです。

館山の落花生とは?

落花生の花

それでは館山で栽培されている落花生はどんなラッカセイなのでしょうか。

ひとえに落花生といえども、アンデス山脈に誕生してからこれまでに数々の進化を遂げてきました。16世紀の大航海時代、新大陸にて発見されてから日本に伝わったのは18世紀の江戸時代で、その後明治期に入って政府が奨励するなどして栽培が本格化し、品種改良も積極的に行われてきました。
日本で栽培されている落花生品種の多くは千葉県で開発されたものです。これはなぜかというと、落花生を研究する日本で唯一の機関「千葉県農業総合研究センター」が千葉県八街市にあるからなのです。落花生王国ならではの研究所ですよね。それでは現在市場に出回っている千葉県が育て上げた代表的な品種をいくつかみてみましょう。

煎豆落花生

千葉半立(ちばはんだち) 奨励品種採用年度 昭和28年

千葉半立

日本の落花生の中では最も歴史が古く日本産落花生のイメージを作った品種。そのコクや風味から「落花生のコシヒカリ」や「落花生の王様」と呼ばれ親しまれてきました。天日干しで乾燥させ煎って食べます。

ナカテユタカ  奨励品種採用年度 昭和54年

ナカテユタカ

こちらは昭和54年に奨励品種となった落花生。さっぱりとした甘味に定評があり、千葉半立と肩を並んで煎豆落花生の代表種となりました。早生品種であり、千葉半立よりも一足早く旬の落花生が楽しめてしまうところも魅力です。
ちなみに、千葉半立とナカテユタカを外見で見分けるのは難しいのですが、中の薄皮で見分けることができます。薄皮の裏側が赤いものが千葉半立、白いものがナカテユタカです。

茹で落花生品種の登場

郷の香(さとのか) 奨励品種採用年度 平成13年

郷の香

平成に入り、茹で落花生が登場します。茹でて食べることを目的とした落花生が初めて誕生したということで大きな注目を浴びました。とはいえ、茹で落花生の存在をまだ知らない方もいると思いますので、その経緯について少し触れておきましょう。
「掘りたてのラッカセイを塩茹でして食べる習慣は、神奈川県や静岡県、九州などでは古くからあった。茹でラッカセイは、煎り豆と違い、軟らかい食感で甘味が強く、ラッカセイのおいしい食べ方ではあるが、日持ちが悪いため販売時期と地域が限定され、広域での流通には不向きだった。現在では冷凍されたものが通年販売されているが、以前は産地の旬の味として知る人ぞ知る食べ方だったのである。
これが直売所ならば、掘ってすぐに並べることができ、生莢のままラッカセイを販売できる。すでに茹でラッカセイが評判になり、目玉商品となっている直売所もある。」
(『ラッカセイ』鈴木一男著/農山漁村文化協会2010年p10)

落花生を茹でて食べるためには、もちろん生の落花生が必要になります。生では保存がきかないために天日干しで煎って食べる習慣が生まれたわけですが、実は生産農家さんはすでにだいぶ前から生落花生を茹でて食べる美味しさを知っていました。
それが最近になって直売所を代表とした流通経路の短縮化や冷凍庫など保存技術の発達により、新鮮な野菜が一般の食卓にも並ぶようになってから、この茹で落花生が注目を浴びだしているのです。

そこで平成13年に推奨品種となったのが、「郷の香」です。茹でるという用途に合わせて殻が薄く、甘味が強いことが特徴で、これまでで初めて茹で落花生専門に品種改良が行われました。茹で落花生の旨みは急速に消費者の間で広まり、郷の香の生産量は年々増加の傾向を辿り現在でも人気商品となっています。

おおまさりの誕生

 落花生はマメ科の作物であり、根に根粒菌が共生していることから比較的どのような土地でも畑を肥やしながら容易に栽培でき、また収穫物が軽いため女性や老人による栽培にも適しているという特徴があります。そのためこうした側面から耕作放棄地の活用に期待の声が上がっている作物です。
また栄養面からみても、高カロリーの優れた栄養食品であるとともに、老化の防止やがん予防などの効果がある成分が多分に含まれた健康機能性食品であることもわかってきているんです。実は想像以上に万能な要素をもった作物だったのですね。

落花生が入った「潮風と大地のレタスカレー」

こうしたことが認められつつも、これまでラッカセイがお菓子という枠の中でしか捉えられてこなかったことには、やはり煎り豆として食べる習慣が大きく関わっていたのではないでしょうか。
それが、茹で豆として一度受け入れられるやいなや、他の多くのレシピと組み合わせることが可能になり、現在数多くの食べ方が生まれてきています。

おおまさり 奨励品種採用年度 平成21年

千葉県農業総合研究センターは、茹で落花生の食味的な人気の高まりや耕作放棄地の活用にみられる実用的な側面を鑑みて落花生ブームともいえるこの動きを一層加速させるために、「郷の香」以降も精力的に長い年月をかけて新品種の育成に取り組んできました。そして、とうとう念願かない夢にまでみた品種が誕生したのです。名前を「おおまさり」といいます。

ジャンボ落花生「おおまさり」 既存の落花生の2倍!

おおまさりは、千葉県農業総合研究センターが1,700を超える落花生の系統の中から、14年間にわたる選抜を経て平成19年に品種登録出願がなされ、平成21年から販売が開始されました。
店頭に並ぶと目を疑うほどに大粒でインパクトが強く、それでいて収量もこれまでの品種を越える特徴をもっています。また何よりその味が絶品!茹でて食べれば、シャキっとしながら柔らかく、さっぱりしながら濃厚な甘味が口の中に広がります。つまり、これまで以上に育てやすく多く収穫することができ、なおかつ魅力的な大きさと美味しさを併せ持つスーパー落花生なのです。

この落花生こそ、今回ご紹介する館山産落花生の正体です。館山ではそもそも培われてきた直売所等の産直市場との連携を生かして、生落花生を売りにしたこの「おおまさり」を品種登録後即生産が始まりました。それでは、生産者の声をお聞きしてみましょう。

田辺農園 田辺直宏さんのお話

取材させて頂いたのは神戸地区で田辺農園を営む田辺直宏さん。落花生の他お米、トウモロコシ、そら豆、レタス等幅広く農業を経営されている農家さんです。

田辺農園 田辺直宏さん

館山産おおまさりのパイオニアとお聞きしたのですが、どういった経緯でおおまさりを始めたのですか?

「もともと千葉県の農業事務所に知り合いがいまして、おおまさりのことは知っていたのですね。農業新聞でも盛んにアピールしていましたしね。館山では生の落花生を茹でる食べ方がかなり昔から定着していましたから、茹で落花生でそんなに良い品種が育成されたというならば、これはやってみない手はないだろうということで生産を始めました。」

茹でて食べる落花生が定着しているのはなぜなのでしょうか?

「落花生は生のままだと日持ちしづらいのですが、館山では地元でとれた収穫物がすぐに手に入る場所が多いからではないでしょうか。特に落花生はほぼ100%流通を通さずに直接売買でどこもやってますので、生で食べられる環境が昔から揃っていたんだと思います。もともと落花生農家も多いですしね。」

他の地域に比べて館山産のおおまさりの特徴はありますか?

落花生の収穫風景(田辺農園)

「館山のおおまさりを作っている地区は、ほとんどここ神戸(かんべ)地区なんですが、神戸は砂地であることで有名です。
ここで作られているほかの作物、例えばレタスやトウモロコシにもついてもいえることですが、苦みが消えて甘みがすっきり感じられるところが特徴的だと思います。
また他におおまさりを作っている一大生産地などもありますが、ほとんどが加工品や冷凍保存品として売り出されていますので、獲れたての新鮮なものと味に差が出るのは当然でしょう。」

 以上、今回の謎の答えがご理解いただけたと思います。館山にはもともと落花生を栽培する農家が多く、また産直市場がたくさんありますので、地元産の野菜を食べる環境が整っていました。そのため生の落花生を茹でて食べる美味しさが早い時期から広まっていたのです。またそうした土壌があったためにスーパー落花生「おおまさり」をやってみようという雰囲気も一足先に進んできました。
館山産のおおまさりは、砂地で栽培された逞しいエネルギーを含み、柔らかい食感と濃厚な甘さは他の地域と一味もふた味も違うと言われています。落花生おおまさりの旬は9月いっぱいで終了となっておりますので、是非この機会に館山に足を伸ばして、生の落花生を直接茹でて召し上がってください。
ちなみに、田辺農園の生落花生は以下産直市場のうち「直売所 百笑園」・「お土産処 旬彩」・「亀屋本店 里見横町店」に置かれているそうですよ!

田辺さんのワンポイントレッスン    落花生の茹で方

<おおまさりの美味しい食べ方>

***素材を生かしたシンプルな塩ゆで***
①鍋に落花生が全部浸る1.5倍程度の水と水の量の3~4%の塩(水1リットルに対し塩大さじ2杯強)を入れて火にかけます。
②沸騰してから30~40分位茹でます。硬さはお好みで加減してください。
※茹で上がったら、そのままにしておくと(10分~)、だんだん冷めてそれとともに塩味が落花生にしみ込んでゆきます。味を見ながら適当なところで落花生を茹で汁から引き上げます。長時間そのままにしておくと、塩味がきつくなってしまうので、お気をつけください。

***省エネ調理は圧力鍋で***
①鍋の大きさにもよりますが、圧力鍋に落花生1Kgと水200cc、塩大さじ3杯位を入れて火にかけます。
②沸騰してから5分、火を止めて3分蒸らします。
※保存は、茹でた後冷凍すれば一年中食べられます。

おおまさり 収穫体験できちゃいます!!

直売所 百笑園

百笑園

〒299-0224 千葉県館山市藤原837
電話 0470-28-3200 FAX 0470-28-3200
E-Mail: works_info@royal.ocn.ne.jp
担当 井坂健太郎

おおまさりが買える産直市場

南房総なのはな村
住所:館山市広瀬1444 tel: 0470-36-4017
営業時間:9:00~17:00

JAグリーン館山店
住所:館山市安布里448-1 tel: 0470-30-9211
営業時間:9:00~18:00

とれたて市場 健人館
住所:館山市那古559 tel; 0470-205227
営業時間:9:00~18:00

わくわく広場 館山店
住所:館山市長須賀161-1 tel: 0470-23-1174
営業時間:9:00~18:00

やさい新選組
住所:館山市二子195-1 tel: 0470-24-9060
営業時間:8:30~17:30

お土産処 旬彩 館山店
住所:館山市北条1880-1 tel: 0470-30-9092
営業時間:9:00~18:00

亀屋本店 里見横町店
住所:館山市下真倉310-1 tel: 0470-25-5421
営業時間:9:00~18:00

セットアップ
住所:館山市北条1722 tel: 0470-28-5387
営業時間:9:00~17:00


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